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「工事番号」の付けかた

1.工事番号の必要性

現場別の工事台帳を作成するためには必ず工事番号が必要です。
工事台帳はひとつの現場にひとつずつ作りますので、現場ごとに
工事番号が必要です。


2.工事番号で集計されるもの

建設業は現場ごとの利益計算が必要ですが、そのベースになるのが工事番号です。
工事番号をつけることによって次の金額が集計されます。

(未完成のもの)
・未成工事支出金・・・・・・・未完成の現場に投入されたコスト。
                 この現場に今までにいくらコストがかかったかを表します。
                 予定通りの利益を稼ぐためには欠かせない数字です。
・未成工事受入金・・・・・・・未完成の現場について発注者から入金した金額です。

(完成したもの)
・完成工事高・・・・・・・・完成した現場の工事の売上高です。
・完成工事原価・・・・・・完成した現場の工事の原価です。
              予定通りのコストでおさまったかどうか?重要な数字です。
・完成工事利益・・・・・・完成した現場の工事の利益です。

工事番号がないと現場ごとの集計、利益計算ができませんので、どんぶり勘定です。
工事番号は建設業の経理の基本です。


3.「雑小工事」は複数現場をまとめた工事番号を付ける

全ての工事に工事番号を付けなければならないという考えもありますが、
実務的には工期が短く(数日)、請負金額が小さいものは「雑小工事」とします。
現場ごとの
工事番号は付けませんが、「雑小工事」として複数の現場をまとめて工事番号を付けます。
「雑小工事」の工事番号は、1ヶ月ごとに1つ、または3ヶ月ごとに1つ作ります。
毎月(または3ヶ月に一度)まととめて完成工事と完成工事原価に計上します。


4.工事番号はシンプルに

たとえば3桁の工事番号を使う場合、
・期首からスタートして、受注した順に現場ごとに、A01、A02・・・・・・・
・雑小工事は、Z01(1月完成)・・・・・・・Z12(12月完成)とまとめて
・複数の現場に共通のコスト(間接費)を処理するために、K01(1月発生)・・・・・・・・K12(12月発生)




「未成工事支出金」の仕訳のしかた

1.材料費の請求書が届いたとき

(借方)未成工事支出金−材料費−工事番号A \100/(貸方)工事未払金 \200
(借方)
未成工事支出金−材料費−工事番号B \100

【解説】借方の勘定科目は「
未成工事支出金」にします。
     補助科目は「材料費」にします。
     工事番号別に請求金額を分けます。


2.外注費の請求書が届いたとき

(借方)未成工事支出金−外注費−工事番号A \100/(貸方)工事未払金 \200
(借方)
未成工事支出金−外注費−工事番号B \100

【解説】借方の勘定科目は「
未成工事支出金」にします。
     補助科目は「外注費」にします。
     工事番号別に請求金額を分けます。


3.その他の現場の経費を支払ったとき(現場が特定できるもの)

(借方)未成工事支出金−○○費−工事番号A \100/(貸方)現金 \100

【解説】補助科目は該当する科目にします。


4.その他の現場の経費を支払ったとき(現場が特定できないもの)

(借方)未成工事支出金−○○費−[間接費] \100/(貸方)現金 \100

【解説】現場が特定できませんので、工事番号は[間接費]にしておきます。


5.現場の従業員の給料を支払ったとき(はじめから現場別に分ける方法)

(借方)未成工事支出金−賃金−工事番号A \100/(貸方)工事未払金 \300
(借方)
未成工事支出金−賃金−工事番号B \100
(借方)
未成工事支出金−賃金−[間接費]   \100

【解説】日報によって現場別に分けます(分けられないものは[間接費])。


6.現場の従業員の給料を支払ったとき(あとから現場別に分ける方法)

(借方)未成工事支出金−賃金−[間接費] \100/(貸方)工事未払金 \100

【解説】いったん[間接費]にします。あとからまとめて現場に分けます。

7.[間接費]に残っている未成工事支出金をまとめて現場に振り分け

(借方)未成工事支出金−○○費−工事番号A \100/(貸方)未成工事支出金−○○費−[間接費] \200
(借方)
未成工事支出金−○○費−工事番号B \100

【解説】労務費は日報にしたがって現場に振り分けます。
     その他の経費の振り分けは、いろいろな方法があります。
     ・労務費の割り振りの基準を使う方法
     ・直接費の発生の割合で振り分ける方法
     ・工事番号へ振り分けずに、間接費のままその月のコストとする方法


8.完成した工事番号(工事番号A)の完成工事原価の計上

工事番号A
(借方)材料費 \100/(貸方)
未成工事支出金−材料費 \100
(借方)外注費 \100/(貸方)
未成工事支出金−外注費 \100
(借方)賃金   \100/(貸方)
未成工事支出金−賃金   \100
(借方)○○費 \100/(貸方)
未成工事支出金−○○費 \100

【解説】工事番号Aの
未成工事支出金の残高を全て完成工事原価の科目に振り替えます。
    






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